嫉妬〜らんる編〜
午後9時。
恐竜やは一日の慌ただしさから開放される時間である。
その時間に毎日と言って良いほど幸人の元患者で名の知られてレーサーのさやかがやってくる。
「三条先生、食事に行きましょ♪」
さやかは図々しくカウンターの中に入り、そこにいる幸人の腕に自分の腕を絡め、猫が甘えるように頭を摺り寄せる。
幸人は仏頂面ではあるが、さやかの誘いを断らず
「ああ」
と言って、店の外へ出て行ってしまう。そんな二人を凌駕とアスカは笑顔で見送る。
しかしその後ろで不快に思いながらも無理に笑顔を作って見送るらんる。
<らんるは2人が出て行くとカウンターの中で次の日に出すサラダ用のきゅうりを切り始める。
しかし苛々している為、手元を誤り、自分の指を少し切ってしまう。
「いたぁ」
切った指を舐める。その声に凌駕とアスカは振り返り、声をかける。
「どうしたの、らんるちゃん」
「らんるさん、大丈夫ですか」
「大丈夫、大丈夫。おかしいなぁ」
「きっと疲れているんです。もう大丈夫だから休んでいてください」
アスカは心配そうにらんるを見る。
「え、でも」
らんるは困惑気味。そんならんるの肩を持ち、身体を奥へと押す凌駕。
「さあ、休んで」
らんるは花のような笑顔で『はいはい』と言いながら、奥へと消えていく。
自室に戻ったらんるはベッドに倒れこむ。
ぼんやりしてたらんるは店を出て行った幸人とさやかの姿を思い出す。
べたべたと幸人に甘えるさやか。らんるはその姿を思い出すだけで、苛々が募る。
「何なのよあの人。ってなんで、あたしいらついてるの?」
二人の姿を忘れようと目を閉じていたらんるはいつのまにか深い眠りへと落ちていった。
次の日、みんな戦いに疲れもあって、早めの店じまいとなった。
凌駕とアスカは早々に部屋へ戻ってしまい、幸人とらんるは次の日の仕込みのため、まだ店に残っていた。
カウンターの中で背中合わせになって黙々と作業をする二人。
いやな雰囲気ではない、沈黙の時間を2人は過ごしていた。
らんるはこの時間を心地よく思っていた。
らんるは手を止めることなく後ろの幸人に問い掛ける。
「今日もさやかさん来るの?」
「さあな」
「あんまり関心ないみたい」
「関係ないだろう」
「関係ある!!」
らんるはその言葉と共に、幸人の方へと振り返る。
幸人はゆっくりと顔だけ後ろに向ける。
「何でお前に関係あるんだ?」
「わかんない、わかんないけど、嫌なの。幸人さんがさやかさんと出かけるのが」
らんるは幸人の背中に抱きつく。
「おい、どうしたんだ?」
幸人はらんるの腕を緩め、身体をらんるの方に向ける。
「どうしたんだ?」
「わからない、自分でもこんな気持ちになるなんて」
らんるは俯いて首を振る。
・・・がちゃ・・
らんるはその音に気付くと、幸人の両腕を持ってしゃがませる。
「お、おい」
「静かにして」
らんるは幸人を表側から見えない様にカウンターの影に動かし、動かないように自分の足で押さえつける。
「こんばんは、さやかさん」
何時もの笑顔で挨拶する。さやかはきょろきょろと辺りを見回す。
「らんるさん、三条先生は?」
「今日は出かけるって言ってましたよ」
「えー!ほんとに?」
さやかはむくれ顔で腕を組む。さやかは椅子に座ろうとすると、
「今日はもうお店閉めるんで帰ってもらえますか」
「え、でも・・・解ったわ」
さやかは渋々店を出て行く。らんるは手を振って心からの笑顔で見送る。
「いいよ、幸人さん」
しゃがんで隠されていた幸人は立ち上がり、さやかが出て行った玄関を見、らんるに視線を向ける。
「おまえ・・・」
「いいのよ、たまには。幸人さんだった毎晩じゃ疲れるでしょ。それに・・・」
「何だ?」
「一緒にご飯が食べたかったのv」
呆気に取られる幸人を尻目に満面の笑みのらんる。
「すぐ用意するから座ってて♪」
らんるは幸人の肩を掴み、カウンターの席に座らせる。
らんるは軽い食事をカウンターの上に置き、幸人の横に座る。
「じゃ、幸人さん。いただきまーす!」
「・・・・・・」
2人だけの時間。さやかから勝ち取ったささやかな時間・・・。
この話は幸vらん同志であります春雪嬢から頂いたお題『らんるの嫉妬』で書いてみましたが(汗)
よくわかんなくなってしまいました。大丈夫だよね?(←誰に聞いてる?)