たまにはお酒を飲みましょう(笑)
トリノイドを倒した夜、幸人はそのジャケットを脱ぎごろんとベッドの上に横になったが眠りにつくことが出来ず、
脱いだジャケットを羽織り直して店の行こうと玄関へ向かう。
幸人が玄関を開けると、ちょうどインターホンを鳴らそうとしているらんるに出くわす。
お互い顔を見て驚くが、らんるはすぐに笑顔になる。
「よかった!!幸人さんもう寝たかと思った」
「なんか用でもあるのか・・・」
「うん、これからみんなで飲まないかって凌駕さんが誘ってくれたから幸人さんを呼びにきたの」
「・・・俺には何も・・・」
「凌駕さんは幸人さんに連絡するって言ったんだけど私がいくからって言ったの」
らんるは幸人の手を引っ張り、ちょっと甘えた声で
「ねえ、行こう」
幸人を上目遣いで見る。ほれた女にそんな顔をされて頼まれたら断れる男などいない。
ご多分に漏れず、幸人もいやいやながらも聞き入れる。
「・・・・わかった」
「じゃあ、出発!!」
らんるは幸人の手を引っ張り、店へと降りていく。
二人が店に下りていくと座敷にあるテーブルの上には乾き物が中心のおつまみがすでに用意されていた。
二人に気付いた凌駕は笑顔で
「あ、来たね。さあ、座って座って」
冷えた缶ビールを両手に持ち、二人を座敷へと促した。
「さあ、飲みましょう!」
と凌駕はそれぞれに缶ビールを渡す。が、らんるだけはその缶ビールを凌駕に返す。
「どうしたの?」
「私、ビール飲めないんだ。だからそっちのがほしいの」
とらんるが指差した方を見るとそこにはカシスソーダの缶。凌駕は笑顔で缶をらんるに渡す。
「じゃあ、改めて・・・乾杯!」
「大人の時間って感じ♪」
楽しい酒宴が始まった・・・・。
宴が始まって暫くすると、さすがに酔いが回ってくる。
カクテルの缶1本でらんるはすでに顔が赤く、アルコールのせいで暑いのか手で顔を仰ぐ。
「あつーい!!」
横で淡々と飲みつづける幸人が
「だったら、上着脱げばいいだろ・・・」
と呆れ顔で言うとらんるは立ち上がり
「じゃあ、樹らんる、脱ぎます!!」
と高らかに宣言をすると凌駕とアスカは煽るように拍手をする。
らんるはジャケットを脱ぎ、黒いTシャツになるとまた飲み始めた。
男衆3人は自分のペースでどんどんとビールの缶を開けていく。
そして、出会いから今までの事を懐かしそうに話していた。
話している最中、ビールなど飲んだ事がないであろうと思っていた
アスカがおいしそうに飲むのを見て、幸人はつい聞いてしまう。
「アスカ、お前ビール飲めたのか?」
「今日が初めてです。でもおいしいですね」
ほとんど顔色を変えないアスカに凌駕と幸人は驚く。
「大丈夫ですか?」
「何がですか?」
「凌駕さん!!」
らんるが話を遮るように凌駕の横に座り、2本目の缶の最後の一口をごくりと飲み干す。
「どうしたの?らんるちゃん」
凌駕がらんるの顔を見ると完全に目が据わっている。
「大丈夫?」
「何が〜?」
「酔ってるでしょ?」
「そんな事ない〜」
「そうとは思えないけどなぁ・・・・」
幸人とアスカはつまみなどに手を出しながららんると凌駕のやり取りを見ていた。
するとらんるは幸人ににっこりと笑うとすぐに凌駕を見て
「ねえ、私とちゅーしよう」
らんるは酔った勢いもあってとんでもない事を凌駕に言い始める。
「え!?」
男衆一同は開いた口がふさがらなかった。一番驚いたのは幸人だった。幸人は慌てて止めに入る。
「・・・・やめとけ、らんる」
「関係ないでしょ」
「!?」
「ねーってば、凌駕さん」
らんるは口を尖らせて凌駕の首に腕を回す。
凌駕は幸人の突き刺さる視線を知ってか知らずか迫ってくる
らんるの顔をどうにか避けながら
「俺はいいです。アスカさんとしてください。」
「私ですか!?」
振られたアスカは自分を指差し、ぶるぶると首を振る。
幸人の視線はアスカにを突き刺す。
らんるは凌駕に手を外されるとアスカの方に向かっていった。
「アスカさ〜ん」
アスカはらんるから逃げようとするが一歩遅く、服を捕まれ座らされる。
そして凌駕の時と同様に腕をアスカの首に回し、アスカに迫る。
「らんるさん、止めてください!!私にはマホロがいるんですから!!」
「いいじゃないですか、キスぐらい。減るもんじゃないし・・・」
「ほんとに勘弁してください。らんるさん、幸人さんがいるじゃないですか」
らんるは『幸人』の名に反応し、迫るのを止める。そしてらんるは幸人の顔を見てにやりと笑い
「いつもしてるからいいんです!!今日は別の人とするの!!」
と言うと、倒れるように眠ってしまった。凌駕とアスカは『えっ!!』とした顔で幸人を見る。
幸人は二人からの視線を外すように顔をそむける。
凌駕とアスカはニヤニヤしながら幸人を見ていると、幸人はその視線に気付き二人を見る。
「何が言いたい」
「いや〜別に〜 ね、アスカさん」
「別に〜♪」
アスカは言い終えると自分の膝に眠り込んでしまったらんるの肩を揺する。
「起きてください、らんるさん。」
らんるの反応は皆無だった。みんなでらんるを覗き込むと幸せそうな寝顔ですやすやと眠っている。
凌駕はポンと幸人の肩をたたき
「三条さん、らんるちゃんお願いします。」
「なぜ、俺が・・・・」
「じゃあ、俺が連れて行っていいですか?」
「・・・・・俺が連れていく」
「「じゃ、お願いします」」
凌駕とアスカは眠っているらんるを起こさないように幸人の背中に乗せる。
「じゃあ、おやすみなさい。」
凌駕とアスカの声を背中に聞きながら、幸人はらんるを背負って店を後にした。
幸人はらんるを彼女の部屋に連れて行き、ベッドの上に下ろした。
らんるは下ろされたときの衝撃で『う〜ん』と声上げたがそのまま眠ってしまった。
らんるが起きないことを確認すると、幸人は部屋を出ようとベッドから離れようと背を向けようとした。
「う〜ん、幸人さん・・・」
らんるは寝返りを打ちながら、無意識で幸人の名を呼ぶ。幸人は小さく笑うとベッドに座り、乱れた前髪をそっと整える。
らんるはくすぐったそうに顔を動かす。そしてらんるの手は幸人の手を取り、そのまま下になっている頬に滑り込ませる。
幸人がそっと手を外そうとすると、らんるは取られないようにと自分の方に引き寄せる。
幸人はそんならんるに苦笑する。暫くそのままで座っていたが、幸人はそのまま眠ってしまった。
日が昇り始めた頃、らんるは眼を覚ます。二日酔いの為か頭痛がする。ふと横を見ると幸人が静かに眠っていた。
「なんで、幸人さんがここに・・・」
らんるは天井を仰ぎ昨夜の事を一生懸命思い出そうとしていた。しかし全然覚えていたない。
「えっと、みんなで飲んでて・・・・」
とらんるが呟いていると
「凌駕とアスカにキスしようとしたんだ・・・」
その声にらんるは幸人の方を見る。幸人は肘をついてらんるの方を見ていた。
「うそでしょ!?」
「何がだ?」
「私が凌駕さんとアスカさんにキスしようとしてたなんて・・・」
「・・・・本当だ」
「ほんとに?・・・どうしよう・・・」
らんるは両手で顔を隠す。幸人はらんるに意地悪く
「俺とはいつもしてるからしたくないって言ったんだぞ」
それはらんるが自分たちの関係をばらしたという事を遠回りに示していた。
「そんな事まで言ったの・・・・もうみんなに顔合わせられない」
らんるは自己嫌悪に陥ってしまった。幸人はらんるの手をそっと外し、意地悪くらんるに聞く。
「俺とキスするの飽きたか?」
「・・・いじわる」
らんるは幸人に背を向ける。幸人は笑いながららんるを自分の方に向かせる。
「俺はお前とのキスは飽きないだが・・・」
幸人はらんるの額にキスをする。
「・・・・私も幸人さんとのキス、飽きないよ」
今度はらんるが幸人の唇に軽くキスをする。幸人はらんるの頬に手を添えると笑みを零し
「・・・飽きるほどしてみるか」
「うん、飽きるほどしよ・・・」
どちらともなく、唇を合わせる。今度は長く深い口付け・・・・。
一方、恐竜やでは・・・
「え、凌駕さんもアスカさんも知らなかったんですか?二人の事」
店に手伝いにきていた笑理は大きな声で二人に言う。
「えみポン、知ってたの?」
「うん、ばればれじゃないですか。あの二人・・・」
「「そうだったんだ・・・」」
当の二人が店に出てきた時、冷やかされたのは言うまでもない・・・。
今回の酒宴以来、誰もらんるにお酒を飲ませる事はなかった。
今回はちょっと皆さんにお酒を飲ませてみました(笑)
まあ未成年もいないので、こんな事があってもいいかなって・・・
凌駕さん(西君)のインタビューでみんなで飲みに行くって書いてあったので、書いてみたくなって。
そのインタビューの中で『らんる嬢はいつも酔ってる』て言っていたので、
下戸に近い感じで書いてみました。
キス魔かどうかはわかりませんがね(笑)