First Love



ある日、店に幸人と二人きりになった凌駕はカウンターに座っている幸人に話しかけた。

「三条さん」
「なんだ?」
「初恋って覚えてます?」
「突然なんだ?」
「ちょっと聞きたくなって・・・」
「・・・別にどうでもいいだろう」
「やっぱ、この間話してくれた中学のときの彼女が初恋ですか?」
「いいや、違う」
「え、違うんですか?教えて下さい」

凌駕は幸人の隣に座ると迫ってきた。幸人は身体を仰け反らせながら

「話すから戻れ」

凌駕は元に戻ると幸人はポツリポツリと話し始めた。



あれは俺が小学校3年の夏休みのことだった。親父に帝王学を学ばされていた俺は親父の会社に来ていた。
しかしその日に限って親父は大事な客が来るからといって俺を近くの公園へと遊びに行かされたんだ。
俺は友達もいない公園で一人ブランコに乗っていた。その時だった、あの娘に会ったのは・・・・。

「一人で遊んでいるの?」

俺は声がしたほうに顔を向けた。そこには髪が短く前髪を花のピンで留めた女の子立ってた。
俺は無視をしてそのままブランコをこいでいたら突然その娘が横からブランコを止めた。
俺が彼女を見ると膨れっ面になっていて

「なんで無視すんのよ!!」

って怒ってきたんだ。俺は今まで怒られることなどなかったから驚いんだ。ましてや同年代の女の子になんてな・・・・。

「・・・・関係ないだろ」
「関係なくないでしょ!!人が聞いているんだから」
「・・・・一人で悪いか」

俺がその娘の顔を見るとにっこり笑って

「私もなんだ、一緒にあそぼ!!」

そういうと俺が返事をする暇もなく俺の手を取って滑り台の方へと連れて行ったんだ。



凌駕はカウンターに頬杖を着いて聞いていた。

「で、それからどうしたんですか?」
「・・・・ああ、それから」



俺達は一人ぼっち同士、一緒に遊んだ。遊び疲れて俺達はジュースを買ってベンチに座って飲んでいたんだ。

「ねえ、おうち近くなの?」
「・・・いいや、今日は父さんの会社に来たんだが、大事な客が来るからってここに来たんだ・・・・君は?」
「私のおうちは福岡なの。今日はおばあちゃんのおうちに来たんだけど、
詰まんなくてここに来たの。そうしたら、君がいたって訳。」
「ふーん・・・」

俺はジュースを飲みながらの娘の顔をちらりと見たとき、気付いたらしく俺の顔をまぶしい笑顔で俺を見たんだ。
俺はその娘の笑顔がまぶしくって目をそらした。
そのとき、胸の奥で熱い物がこみ上げたのを覚えている。
あれが恋だったんだろう・・・。

それから二人は時間を忘れて遊んだ。
思いっきり遊んだのは初めてなぐらいだった。
日も暮れてきて、その娘の母親が迎えに来たんだ。
彼女は公園の外で待っている母親を見つけると、俺の所に来て手を握ったんだ。

「もう帰らなきゃ・・・」
「・・・うん・・・また会える?」

俺が尋ねた言葉にその娘は寂しい笑顔で首を振った。

「・・・・明日早く福岡に帰らなきゃいけないから・・今日は楽しかった。ありがとう」

そう言うとその娘は留めていた花がついたピンを俺の手に握らせ、

バイバイと笑顔で手をふって帰っていったんだ。



「それで、名前は聞かなかったんですか?」
「・・・ああ」
「それでそのピンはまだ持ってるんですか」
「・・・・・部屋においてある・・・」

凌駕はコーヒーを飲んでいる幸人をニヤニヤしながら見ている。
それに気付いた幸人は怪訝そうに凌駕を見る。

「・・・・なんなんだ?」
「三条さん。今でもその娘に会いたいと思います?」
「・・・・どうかな?」

幸人はいつもは見せない笑顔でごくりとコーヒーを飲み干す。


実は凌駕は幸人の話を聞く前にらんるに初恋の事を聞いていた。
らんるの話も幸人と同じ話だった。
彼女は『会いたい』といっていたが・・・
凌駕は頬杖をしてけんかしているが仲のいい二人を思い浮かべ、幸人に聞こえない様に小さな声で呟く。

「会うべくして会った二人なんだな・・・・」
「何か言ったか?」
「いいえ、なんでもないです。さあ仕事をしましょう」

凌駕は幸人の肩をポンと叩き、調理場へと消えていった。
幸人は不思議そうな顔をしたが、凌駕に言われるがまま自分も調理場に入っていった。




初恋物を書いてみました。
実は以前に二人は会っていて再会したが二人はわかっていない 見たいな話を書いてみました。
いかがでしょう?