パーティー


これから夜の営業が始めるため、準備をしてるらんるに幸人が話しかける。

「おい、らんる」
「何?幸人さん」
「この間、アスカをレストランに連れいてった時の服を着て、5時に店の前で待ってろ」
「え?」
「わかったな」
「ちょっと待って・・・」
と言い残して幸人は行ってしまった。らんるは突然の言葉に呆然としていた。
が、らんるが時計を見ると、もう4時。幸人の言葉を疑問に思う間のなく、慌ててらんるは支度をする為に部屋に戻った。


部屋に戻ると、らんるはシャワーを浴び、下着を着替える為、箪笥の前に立つ。

「これじゃないとね」

と、らんるは箪笥を開け淡い黄色のストラップレスのブラと同色のガーターベルトを身に付ける。
そして黒いガーターストッキングを履いて、アスカの時と同じドレスを身につける。
髪をセットし、化粧をして何時もより赤味の強い口紅をつける。

「どうだ、完璧!!」

とらんるは全身鏡の前でポーズを取る。時計を見るともう5時。
らんるは大急ぎでバッグを取るとシルバーのピンヒールのサンダルを履いて店の前へと駆けて行った。


らんるが店の前に着くと、すでにダークグレーのシャツを着て同色のスーツを着た幸人が自動車に腕を組み寄りかかるように立っていた。
らんるは息を弾ませながら

「ごめん、幸人さん。待った?」
「ああ、早く乗れ」

幸人は運転席に先に乗り込む。らんるも慌てて助手席に乗り込むと自動車は動き出した。



しばらくして自動車はホテルの前で止まった。助手席の扉をボーイが開け、らんるは自動車を降りる。
幸人はすでに降りてボーイに鍵を渡し、少しとまどっているらんるの腰に手をやり、ホテルの中に入っていった。
幸人はらんるを伴ってフロントに声を掛ける。

「三条だが」

「三条様、お待ちしておりました。何時ものお部屋をご用意させて頂いております」

とフロントの従業員は幸人にカードキーを渡す。幸人は無言でそれを受け取るとらんるとエレベーターに乗り込む。
らんるはただ唖然としながらエレベーターの行き先を眺めていた。

エレベーターが止まり、ついた先はスイートルーム。幸人はなれた手つきで鍵を開け、らんるを中に入れる。

広々とした部屋にらんるは驚く。幸人はテーブルの上に置いてある箱をらんるの元に持っていき、中身を出して渡す。

「これに着替えろ」
「えっ?」

らんるが渡されたのはボルドー色のサテンのスリップドレス。
らんるはきょとんとした顔でドレスと幸人を交互に見る。幸人は窓から外を見ながら答える。

「今の服はお前には似合わない。俺の見立てだ。着替えろ」
「この服、似合わない?」
「ああ、似合わない」

「そうはっきり言わなくてもいいじゃない!!わかったわよ、着替えればいいんでしょ!!」

らんるは渡された服を持って着替えるべく別の部屋へと消えていった。

らんるは今着ている服を脱ぎ、渡されたドレスを着替え同色のオーガンジーのショールを肩からかけると部屋にあった大きな姿見鏡の前に立つ。

鏡に映った自分の姿にらんるは感心する。

「こんな色も似合うんだ・・・」


「・・・幸人さん」

窓に寄りかかって外見て待っていた幸人はらんるに声をかけられとらんるを全身をなめるように見る。

「・・・どう?」
「・・・まっ、こんなもんだろう・・・」
「!?・・・なによ、その言い方!」

らんるは頬を膨らませて幸人に文句を言うが、幸人はどこ吹く風でらんるの腰に手を回し

「・・・行くぞ」

部屋のドアへと歩いていく。らんるは慌てて

「どこに行くの?」

と聞くと幸人は

「パーティーだ」
「パーティー?」
「そうだ・・・・行くぞ」

幸人はいまいち理解していないらんるを伴いパーティー会場に向かった。



そこは三条コンチェルンの創立30周年を祝うパーティー会場だった。
パーティー自体はすでに始まっており、多くの上流社会の招待客でごった返していた。
会場の入り口近くにいたらんるはその雰囲気に圧倒される。
幸人はそんならんるに気付くとボーイが運んできたシャンパンを受け取り、らんるに渡す。

「どうした?」
「どうしたって・・・・」

らんるは渡されたシャンパンをごくりと一口飲む。
幸人はそんならんるを見て小さく笑うと

「俺には関係ないが、俺の居場所を知った昔からの社員がどうしても来いとうるさいから来ただけだ」

「そうなんだ・・・」
「だから大いに楽しんで、消えればいい」
「なら、食べようよ。おなかすいちゃった」

笑顔になったらんるは幸人の手を引っ張り、ビッフェコーナーへ向かい食事を始めた。

食事をしていると、幸人は急に笑顔から一点を見詰め険しい顔に変わる。らんるも気付き、幸人の視線の先を見る。
そこには何人ものお供を引き連れた男性が立っていた。

「幸人さん、あの人・・・」
「・・・ああ、親父だ」

そんな会話を交わしていると幸人の父親がこちらに向かってくる。幸人は視線を外すことなく、立っていた。

「よく来たな」
「ああ、あの人の顔を潰すには行かないからな・・・」

幸人は父親の後ろに立っている社員を見る。父親もその社員を見ると

「こいつには世話になっているからな」

二人に間には沈黙が流れる。口を開いたのは父親の方だった。

「このお嬢さんは?」
「樹らんるだ、俺の女だ」
「初めまして」

らんるは笑顔でぺこりとお辞儀をする。父親は見下したようにらんるを見る。その視線に気付いた幸人は
らんるの手を取ると

「・・・これで失礼する。もう二度とこない」

と捨て台詞をいい、会場を後にした。



二人はホテルの近くの公園を散歩していた。らんるは靴を脱ぎ裸足で大きな噴水の周りを上機嫌で踊るように歩いてる。

「嬉しかった、幸人さん」

ズボンのポケットに両手を突っ込んで歩いている幸人は、らんるを不思議そうに見る。

「どうしてだ?」

らんるは幸人の方を振り返り

「俺の女だってお父さんに言ってくれたから・・・」

と赤面をしながら言うとすぐに振り返る。らんるは勢いよく振り返った為、噴水に落ちそうになる。
幸人は慌ててらんるの手を取り、自分の方に引き寄せる。らんるは幸人の胸の中に納まる。

「ふー助かった・・・ありがとう、幸人さん」
「ったく、気をつけろ」

らんるは幸人から離れようとするが、幸人の腕は外れるどころか強く抱きしめられる。

「?・・・苦しいよ」
「あいつに本当のことを言ったまでだ」
「・・・幸人さん」

幸人はらんるを解放すると手を取り笑顔で

「さ、帰るぞ。これから俺達のパーティーの始まりだ」

らんるも満面の笑顔になり

「うん!!」

と答え、二人はホテルに戻っていった。




パーティーの話。こんな話。
書いててわからなくたってしまいました(涙)