お江戸物語 3 〜企み〜
「そうだ、いい物をやる・・・・」
幸人は握っていたらんるの手を外すと懐に手をいれる。
懐から取り出したのは懐紙に包まれたいろとりどりの金平糖。
「「きれい」」
らんると舞は金平糖をまじまじと見つめ思わず漏らす。
幸人はそんな二人を見て小さく笑う。
「金平糖だ。食べてみろ」
二人は金平糖を一つつまんで口に入れる。
「「あまーい!!」」
ほぼ同時に発せられた二人の言葉に幸人は思わず声を上げて笑う。
「何がおかしいのよ!?」
「なんでわらうの?」
「いや・・・はっはっは・・・」
らんると舞は不思議そうに顔を見合わせるのだった・・・・。
その頃、リジュエルの部屋では・・・・
壬琴はリジュエルに甘えられながら勺をされ酒を飲んでいた。
「ねえ〜壬琴さま〜」
「なんだ、リジュエル」
「いつになったらお姉さまと結婚するの?」
「さあな」
「早く結婚しないかしら・・・そしてお姉さまを殺して・・・・クスクス・・・」
「ああ、そしてお前と・・・」
二人は不敵な笑みを称え、壬琴は杯の酒を飲み干す。
その恐ろしい会話を部屋に酒を持って来たマホロが偶然聞いてしまい、障子を開けられずにいた。
『なんて恐ろしい事を・・・・早くアスカに知らせなければ・・・』
突然、障子が開く。そこには壬琴が立っていた。
「どうした、そんな驚いた顔をして」
「い、いいえ。壬琴様どちらに」
「そろそろ戻る。その前にらんる姫に挨拶をしていく」
「では、ご案内を・・・」
マホロに案内されらんるの部屋に行く途中、幸人の部屋の前を通りかかる。
そこからはらんるの笑い声が漏れていた。
「ん?ここにいるのか?おい、マホロ。ここは誰の部屋だ?」
「申し訳ございませぬ。存じません」
マホロが頭を下げそう答えると壬琴は『ちっ』と舌打つし、障子を開ける。
そこには笑顔のらんるがいたが、壬琴の姿を見たとたんその笑顔も曇る。
舞もとっさにらんるの後ろに隠れてしまった。幸人は壬琴を睨みつける。
が、壬琴はおかまえなしにづかづかと部屋の中に入り、冷たい笑顔でらんるの顎をひょいと持ち上げる。
「はしたないじゃないか、姫」
「何がはしたないのですか?」
「大きな声で笑って。それにここは男の部屋・・・」
「わ、私は舞と一緒に異国の話を聞いていただけです。
それに幸人さんはその様な事をするような方ではありません」
らんるの背中に隠れていた舞はチラッと壬琴を見ると直ぐに顔をらんるの背中にうずめてしまう。
「ほぉ、これはまた随分と仲良くなられたようで・・・
まあいい、俺はこれで失礼する。また近いうちに・・・」
そういうと壬琴はらんるの唇を強引に奪う。
壬琴の唇が離れたとたん、らんるは壬琴の頬を殴る。
「ふっ、じゃあな。気の強い姫さん」
殴られた方の口角を拭うと高笑いをしながら幸人の部屋を出て行った。
背中に隠れていた舞は出て行く壬琴の背中にあっかんべーをする。
俯いているらんるを覗き込む。
「らんるちゃん大丈夫?」
出て行った壬琴の後姿を睨んでいた幸人は舞の声にらんるを見る。
らんるは俯いたまま、肩だけを震わせていた。
その時、なぜだか幸人にはらんるが小さな少女に見えた。
いつもは強がっていても姫も一人の少女のなのだ。
そう思えてしまった時、幸人はらんるをそっと抱いていた。
それは自分でも説明が出来なった。
でも、どうしても彼女を守りたいを思えた。
「ゆっ、幸人さん、放してください」
その一言で我に返った幸人は慌ててらんるから離れる。
「・・・すまない」
「・・・いえ」
二人は赤面し、俯いてしまう。
その間に入った舞はらんるを笑顔で見上げる。
「よかった、らんるちゃんがなかないで。
らんるちゃんのなくかおなんて、まい、みたくない。
まいがらんるちゃんをまもってあげるからね。
らんるちゃん、あーんして」
らんるが舞の言う通り口をあけると、舞は金平糖を一つ入れる。
その甘さがいやなことを忘れさせてくるように口いっぱいに広がり、自然と笑みがこぼれる。
「ありがとう、舞ちゃん」
「まいはらんるちゃんのわらっているかおがいちばんすきだよ、ね、ゆきとさん」
「・・・ああ」
舞の言葉に救われた二人は笑顔に戻り、幸人は再び異国の話を話し始めた。
夜も更けて・・・。
アスカは城内にある池のほとりにやって来た。
「・・・マホロ」
アスカは闇の中、他の人に気付かれないような小声で恋人の名を呼ぶ。
「・・・アスカ」
マホロは木の陰から姿を出すと、そのままアスカの胸の中に身体を納める。
「逢いたかった・・・・」
「私も・・・・」
二人はお互いの存在を確かめ合うように抱き合う。
「アスカ・・・壬琴様には気をつけて」
「なぜ?」
「さっき聞いてしまったの・・・
結婚したららんる様を殺してリジュエル様と結婚するって」
「!?」
「今から何かしてくるかも知れない。だから・・・」
「わかった。明日でもらんる様にお知らせして・・・」
「だめよ、らんる様にお知らせしては・・・」
「どうしてだ?マホロ。これは大事なこと・・・」
「らんる様は正義感の強いお人だから、直ぐに態度に出てしまわれるわ。
それこそどうなってしまわれるか・・・・」
「わかった。では明日凌駕さんと幸人さんに話してらんる様をお守りするよ」
「ええ、私もリジェル様を監視するわ。また何かわかったら知らせる」
恋人達が逢瀬を楽しむにはあまりにも時間が短く、二人はまたそれぞれの主人の所へと戻っていた。
書いててたのしいですわ
しかしあまり時代構成など深く突っ込まないください。