傍に居て…。
ちょっとの油断が招いた、今回のミス。それによって、幸人とらんるが怪我をした・・・。
「大丈夫ですか?お2人共・・・」
「この程度の怪我、どうって事ない」
「でも運転はダメですよ、足を怪我してるんですから〜・・・」
「このくらいなら運転しても平気だ」
「何言ってるんですかぁっ!足、引きずってるくせに!!」
幸人は右足に怪我をして、これ以上の負担を掛けない様にと、一応の為に松葉杖を使用していた。
「らんるさんも、腕の怪我は大丈夫ですか?」
「あたしの方こそ全然平気!"かすり傷"程度だし・・・」
「らんるちゃんこそ、何言ってるのっ!!右腕"折れてる"んだよっ!?」
「ぅ・・・ごめんなさい・・・」
「本当であれば、首から吊って固定しておいた方がいいのに、それもしないで・・・」
「あはっ、吊る程の事じゃないよ〜♪凌駕さんも大袈裟なんだからぁ!」
右腕骨折のらんるは、ケラケラと笑いながら凌駕と言葉を交わす。
その様子に幸人は・・・
「まったく・・・誰の所為でこんな事になったと思ってるんだっ・・・!?」
「幸人さんっ!!!」
「っ!!・・・・・・ごめんなさい」
エヴォリアンとの戦闘の際、らんるをかばって怪我をした幸人。
でも結局はかばいきれずに、らんるも怪我を負ったのだが・・・。
「お前は暫くの間、此処で待機してろっ!! ・・・戦闘に出向かれても足手纏いだっ」
「っ!!」
「三条さん、そんな言い方って・・・っ!!!」
幸人の言葉に店を出て行くらんる。
その瞬間、らんるの目に涙を見た幸人。
『俺の所為で泣いていた・・・』この時ばかりは、捻くれた事しか言えない自分を恨んだ幸人
あった・・・。
夕食の時間になっても戻らないらんる。
「らんるさん、戻って来ませんね・・・」
「怪我してるのに大丈夫かな・・・」
心配そうに呟く、アスカと凌駕。
「幸人さんの所為ですよっ!!!」
響き渡る笑里の怒声。
夕方、2人の怪我を心配して学校から直で駆け付けたのだが、来てみると事態はもっと深刻で・・・。
「幸人さんが『足手纏いだ』なんて言ったから、
らんるさん福岡に帰っちゃったのかも知れませんよっ!?」
「・・・フン、それならそれで、いいだろ・・・!?」
「それならまだしも、『自分は居ない方が良いんだ』なんて思い悩んで、
"自殺"なんて事になったらどうするんですかぁっ!!!」
「っ!!?」
「えみポンっ、縁起でもない事言わないのっ!!!」
笑里の言葉に過剰反応を示したアスカは、幸人を怒鳴り付ける。
「そんなのダメですっ!!! 幸人さん、このままで良いんですかっ!?
手後れになる前に探し出さないと、後悔しますよっ!!?
・・・その気持ちを一番よく知っている私が言うんですから
・・・だからっ・・・!!!」
似た様な経験を持つアスカの言葉には、それ相応の重みが含まれていた。
そして、その言葉に幸人の心が動く。
幸人は上手く使いこなせない松葉杖を、もどかしいと言った風に投げ捨て、
足を引きずりながら店を出ようとする。
「あっ、ダメですよ、三条さんっ!!足を怪我してるんですからっ!!!」
「うるさいっ!!!」
制しようとする凌駕を突き飛ばし、店を出て行く幸人。
そしてバイクのエンジン音が鳴り響き、幸人は怪我した足で運転して行ったのである。
「あっ!!・・・・・・行っちゃったぁ・・・ えみポンっ、三条さんに何て事言うのっ!!らんるちゃんが自殺する訳ないでしょっ!!?」
「え・・・?そうなんですか!?」
「そう言うアスカさんもアスカさんですよっ?!三条さんをあんな風に煽って・・・っ!!!」
「・・・すみません・・・」
2人を叱る凌駕に反省の色を見せない笑里は、『分かってないなぁ』と言った表情で呟いた。
「らんるさんが、そんな事する様な人じゃない事ぐらい分かってますよぉ〜・・・」
「じゃあ、何であんな事を・・・っ!?」
「あのくらい言わないと、幸人さんから動いてくれないでしょ?
実際の処、動いてくれるかも不安だったけど、アスカさんのおかげで動いてくれたから良かった♪」
「わ、私ですか!?」
驚くアスカに笑顔で頷く笑里は・・・
「男と女の問題は、周りがどうこう出来るものじゃないですからね・・・!」
「「 "男と女の問題"って・・・; 」」
一方の幸人は、痛む足でバイクを運転し、らんるの姿を探していた。
そして、川辺に差し掛かった所で見付けたらんるの姿。
幸人は急いでバイクを止めた。
「らんるっ!!!」
思わず叫んでいた幸人。舞の時は声を出す事などなかったのに・・・。
「幸人さん・・・?」
静かに振り向いたらんるの目に映ったのは、必死で駆けて来ようとする幸人の姿。
「幸人さんっ!!」
走ろうとする幸人を止めようと、叫ぶらんる。それでも止まろうとしない幸人の元へ、らんるが駆け寄る。
ちょっとした振動でも右腕に痛みが走るというのに、今のらんるにそんな事は関係なかった。
幸人は歩く事もままならないのに、その足で走ろうとした為、バランスを崩し倒れそうになる。
らんるは瞬間の処で幸人の元へと辿り着き、右腕を庇いながら身体全体で幸人を支えた。
「こんな足で、なに考えてんのよっ!!」
「・・・・・・」
何も答えない幸人は、代わりにらんるを強く抱き締めた。
「え・・・」
「良かった・・・っ」
「・・・幸人、さん・・・?」
「あ、いや・・・」
幸人はらんるから身体を離し、俯いた。幸人は初めから判っていた。
らんるが自殺する様な娘ではないという事を・・・。
でもアスカの言葉を聞いて、居てもたっても居られなくなり、店を飛び出したのだ。
このままじゃいけないと思った。
自分の所為で泣いていたらんるを放っておく事など、幸人には出来なかった。
「さっきは悪かった・・・少し言い過ぎた・・・」
「幸人さんは悪くないよ!・・・悪いのは全部あたしだもん・・・」
「違うんだっ!!・・・そうじゃないんだ・・・
俺が言いたい事は、そういう事じゃなくて・・・」
不思議そうに見詰めるらんるに、幸人は静かに口を開いた。
「らんるを守り切れなかった自分が情けなくて・・・
その所為で俺よりも大怪我を負わせてしまった事が腹立たしくて、
それでつい、お前に当たってしまったんだ・・・」
「幸人さん・・・」
「さっきだって、怪我が治るまで安静にしていろって事を言いたかったんだが・・・」
この言葉に、らんるは幸人に抱きついた。
「らんる・・・?」
「幸人さんのバカっ!!! それはこっちの台詞だよ・・・っ」
「・・・・・・」
「あたしの所為で怪我しちゃったのに、そんな風に想っていてくれて、
あたしの為にその足でバイクに乗って探しに来てくれるし・・・
幸人さんにもしもの事があったら、あたし・・・っ!!」
らんるの目には涙が光っていた。
『俺の為に泣いてくれた・・・』幸人はらんるを抱き締めずには居られなかった。
「悪かった・・・」
らんるを優しく抱き締める幸人。
「この先俺は、お前を悲しませる様な事はしない・・・
だからお前も、俺に心配を掛けさせる様な事はするな」
「うん・・・」
「・・・もう、どこへも行くなよ・・・」
「うん・・・」
「俺の前から消えたりするな」
「うん・・・」
「ずっと、俺の傍に居てくれ・・・」
「・・・うん」
お互いの為にも、ずっと・・・・・・
《廉さんのコメント》
ゆうこさんの折角の素敵なシーンを台無しにしてしまう私…(ごめんなさい;)
"自分の所為"と"自分の為"説明するのは難しいのですが、2つの微妙な違いが判って頂けると嬉しいです!(途中、自分でも判らなくなってきたりしましたが…;)
《管理人》
以前管理人が書いたSSの一場面「幸人さんがらんる嬢を捜す」を気にって頂いてSSを書いていただきました。
無理を言ってUPさせていただきました。
言葉が足りないんですね〜幸人さんって・・・だから誤解されちゃうんだけど・・・でもこんな幸人さん好きです
ありがとうございました。