健吾君あわれ
お昼過ぎ、BFクワガーこと橘健吾は彼らの基地であるコスモアカデミアの廊下を小山内博士からの資料に目を通しながら歩いていた。
すると健吾の耳に聞きなれた男女の声での言い争いが入ってきた。
健吾は視線を資料から声のする方に向ける。
そこにはめったなことでは喧嘩などはしないフリオと蘭が珍しく口喧嘩をしていた。
こういう争い事が好まない健吾は小さく溜息をついて二人の間に割って入った。
「やめないか、2人とも。こんな所で」
フリオと蘭の視線が一斉に健吾に向けられる。そして蘭は子供みたいに口を尖らせて
「ねえ、聞いてよ、健吾。フリオったら全然わかってないのよ」
「いいや、わかってないのは蘭の方」
2人はお互いの言葉を聞いて、また視線を合わすがぷいとそっぽを向いてしまう。
「だから、どうしたんだ。2人とも」
健吾は半ば呆れた口調で尋ねる。その質問に答えたのはフリオの方だった。
「健吾、蘭は『男は鈍感だ』と言うんだ」
「そうよ、男ってほんと鈍感」
「聞いたかい、健吾。朝からこれなんだ」
健吾はこんな痴話喧嘩の仲裁に入ったことに大切な時間をつぶしてしまったことに少し後悔し始める。
しかし、係ってしまった以上仲直りさせるしかないと思い、嗜めるように蘭の言い分を聞こうと原因を尋ねる。
「どうしてそう思うんだい?」
「だって、今日は久しぶりに髪型を変えてみたのにフリオったら全然気付かないんだもん」
と蘭の言葉を聞いて、健吾は蘭の頭に視線を持っていく。
いつも髪の毛を下ろしている蘭が珍しくポニーテールにしていた。
何時もとだいぶ印象が違う蘭を見て、
『これに気付かなんじゃ、フリオは相当鈍感だな。蘭が怒るもの無理も無い』
と思っていた健吾であるが、
『あれ、確か今日の朝蘭に逢ったよな、俺も気付いてなかった』
と気付いてしまい、そのことを蘭に突っ込まれないか内心ひやひやしていた。
その時、少し考え込んでいたフリオがにやりと健吾の肩に手を置く。
「そういえば、今日の朝、俺 健吾と一緒に蘭に逢った。その時、健吾も何も言わなかった」
健吾は背中に嫌な汗をかきながら、引きつった笑顔で
「そうだったか?」
とごまかしてみる。
「あーそういえば・・・・」
蘭の怒りの矛先がフリオから健吾に向けられた。
「もう、ほんとに健吾も鈍感!!ゆいちゃんの事だってそう」
蘭は腕組みをして膨れっ面で健吾の顔を見上げる。
健吾は聞き流そうと思っていたがゆいちゃんの名前が出てきて思わず聞き返した。
「なんでこんな時にゆいちゃんがでてくるんだ?」
蘭は健吾の言ったその言葉に今度は蘭が呆れた口調になる。
「もう、健吾気付いてないの?ゆいちゃんからアプローチされて気付かないなんて、
どうしようもないわね。ゆいちゃん、あなたのこと好きなのよ。」
健吾は蘭の言葉に今まで仲間の妹としてしか見なかったゆいのことを急に意識してしまい
戸惑いの表情を見せ、フリオに助けを求める。フリオはくすりと笑い
「健吾、この俺だって気付いていたよ。ゆいちゃんこと」
「そうだったのか」
健吾は仲間を無くしたようにがっくりと肩を落とす。
その時、噂の彼女の声が聞こえてきた。
「こんにちは。あ、蘭さん髪の毛アップにしたんだ、可愛い」
三人は一斉にゆいの方を見る。フリオと蘭はニヤニヤとして、健吾は俯いていた。
「?」
ゆいは首をかしげて輪の中に入ってくる。そして迷いも無く健吾のそばにより、健吾の顔を覗き込む。
「健吾さん、どうしたんですか?」
健吾は少し顔を赤らめながらなんでもないと首を振った。
そんな健吾を見たゆいはますます疑問が増すばかり。今度は二人に尋ねる。
「どうしたんですか?」
「大したことじゃないの。ただ男って鈍感ねって話」
蘭は笑顔でフリオに同意を求める。フリオもそれに笑顔で答えた。ゆいもうんうんと頷き
「わかります、蘭さん。ほんとうに男の人って鈍感ですよね。」
ちらりと健吾を見るゆい。その視線に気付き固まる健吾。
その健吾に気づきながらも蘭は話を続ける。
「わかる?ゆいちゃん」
「もちろん。もしかしてフリオさん、蘭さんの髪型を気付かなかったとか・・・」
「そうなのよ、ほんと失礼しちゃうわ」
「いいですか、フリオさん。女の人って好きな人のために綺麗になるんですから、
ちゃんと言ってあげないとだめですよ」
フリオは苦笑し、
「わかりました。ゆい、健吾と一緒に先に研究室に行ってくれるかい?」
「はーい。健吾さん、いきましょ♪」
ゆいは笑顔で固まっている健吾の腕を取り、研究室へと歩いて行った。
フリオと蘭は二人の背中を見ながら
「これからどうなるかしら?」
「さあ」
互いの顔を見てくすくすと笑い出す。笑いが収まるとフリオは蘭に
「よく似合ってる」
はにかむように言った。しかし蘭は怒った口調で
「いいわよ、いまさら・・・」
フリオにぷいと背を向けてしまう。フリオは後ろからそっと蘭の頬にキスを落とす。
蘭はそのやわらかい感触に驚き、フリオの方に振り返る。
「ゴメンのキス」
フリオはそう言うとにこりと笑い、すたすたと歩いていってしまった。
蘭は我に返り、
「待ってよ、フリオ」
フリオの後を追い駆けるように小走りに歩いていった。
ゾロ番555を踏まれた高村嬢のリクエスト『健吾の出てくるフリオv蘭』でしたが・・・
健吾のキャラを崩してみました(笑)真面目な彼をこんな風にしてみました(おい)
こんな駄文でお答えできているでしょうか?(どきどき)