桜 〜フリオv蘭〜
暖かい春風に吹かれてひらひらと花びらが舞う、桜の木。
その木の下にはフリオと蘭が
楽しそうにお花見の準備をしていた。
ラグを敷き終わり、フリオはその上に座り込む。
蘭は傍らで立ったまま手を組み、おもいっきり春の日差しを浴びるように伸びをする。
空を眩しそうに見ていた蘭はフリオに声を掛ける。
「気持ち良いね、フリオ!」
蘭は満開の桜のような笑顔でフリオの方を振り返る。
フリオは日差しか、それとも蘭の笑顔か解らないが眩しさを感じていた。
その為、フリオは眩しそうな顔で返事をする。
「そうだね。蘭、靴を脱いだらどうだ?」
その言葉に蘭はフリオの顔から足元へと視線を落とす。
フリオはすでに靴を脱いで素足になっていた。
蘭は少し驚き、視線をフリオの顔に戻す。
「どうして脱ぐの?」
「草の冷たさ、大地の温かさを感じることができる。靴を履いたままではそれを感じられない。」
蘭はその言葉に少なからず感心しながら、フリオの横に腰を落とす。
「でもあたし・・・・」
蘭は両膝を抱え混み、不安げな顔をする。今度はフリオがその言葉に驚く。
「家では裸足だろう?」
「う、うん。昔はゲームばかりで外で裸足になって遊んだこと無いし・・・」
「大丈夫、不安ならラグの上から足を出さなければいい」
フリオは不安になっている蘭を春風のような優しい笑顔で見詰める。
蘭はその笑顔に不安な気持ちを吹き飛ばされた思いがし、恐る恐る靴を脱ぐ。
「どう?蘭」
「うん、気持ちいい!!」
蘭は思いっきり足を伸ばしあの眩しい笑顔で答える。
「よかった」
フリオはあの時と同じように自然の大切さを知ってほしいと願い、笑顔で蘭を見詰める。
しばし、2人はお弁当を食べたり、フリオの吹くケーナの調べに耳を傾けたりと楽しい時間を過ごしていた。
2人がたわいも無いおしゃべりをしていた時、突然フリオは立ち上がり、芝生へと歩いていく。
蘭はフリオが何をしたのかわからず、ただ見詰めていた。
フリオは座っている蘭の方に振り返り、先ほどと同じ優しい笑顔で手を差し出す。
「さあ、蘭。来てごらん」
「え、でも・・・」
蘭は俯く。フリオは今度は蘭の目の前で屈み手を差し出す。
「さあ、大丈夫だから」
蘭は意を決してフリオの手を取る。
フリオは蘭の手が自分の手を掴んだとたん、引っ張る。
引っ張られた蘭は小さい悲鳴をあげてフリオの胸の中に収まってしまう。フリオは蘭を軽く抱きしめる。
「大丈夫だろ」
呆然としていた蘭はその声で我に返り、自分の足元を見る。
「う、うん。でもフリオ・・・」
「どうした、蘭?」
「・・・恥ずかしいよ・・・」
蘭はフリオの胸の中で赤面し、俯く。フリオも慌てて蘭を外し、赤面する。
「ごめん、蘭」
「ううん、有難うフリオ。さっき言っていたことが解るような気がする」
「さっき言ったこと?」
「そう、草の冷たさや大地の暖かさが・・・」
「そう、よかった」
「いつもフリオには教えられてばかりね。」
蘭は小さく笑う。
「そんな事無い。俺も蘭にいろんな事を教わった」
「どんなこと?」
蘭は小首をかしげてフリオの顔を見る。フリオは不敵な笑みを浮かべ、耳元で囁く。
「・・・ゲームの仕方」
フリオは蘭からの攻撃を予知したように逃げるように走っていく。
「なによそれ!待ちなさいフリオ!」
蘭は手を上げながら、フリオを追いかける。二人の追いかけっこはしばらく続いた・・・・
この話も高村嬢に捧げました。蘭の『外で裸足になったこと無い』というのは捏造ですが(笑)
でもゲーマーさんらしかったので、こんな話を書いてみました。
この話も高村嬢にわがまま言って『RISING LOVERS』という素敵なお題をつけていただきました(多謝)