幸人編


らんるが振り向いた時、幸人の顔が目の前にあった。らんるは睨みながら

「何でそんなことしかいえないの?」
「性格だ、払えないならこれをもらうぞ」

幸人はらんるの首の後ろに手を当て、自分の方に引き寄せ、らんるの桜色の唇を奪う。

「うっ、うっ、」
らんるは驚き、目を見開く。そして幸人の胸を叩き、唇を外そうとする。
しかし幸人はそんなことはお構いなしに何度も角度を変えて長い口付けをする。
抵抗を続けていたらんるは呼吸もままならない状態で、意識が遠のいていく。
そして無意識にらんるは一筋の涙を零す。幸人は満足そうに唇を外す。
そのとたん、らんるは幸人の頬を叩く。幸人は叩かれた方の口角を握った手でぬぐう。
そして、有無も言わせず、幸人はらんるの腕を引っ張り、きつく抱きしめる。

「俺の女になれ、お前が俺のことが惚れているのは知っている」
「そっ、そんなことない」

らんるは怒った口調で言い、離れようとするが、所詮男の力には勝てない。
らんるは顔を上げ、幸人を睨みつける。

「ふっ、図星か」

らんるには解らなかった。たしかにさやかの口付けを幸人が制した時、ほっとした。
でもそれが恋心かどうかは。らんるの目からはとめどなく涙が零れる。


・・・ぴんぽん・・・

幸人は腕を外し、顔を玄関の方へ向け、声をかける。

「誰だ」
「凌駕です。お店が忙しくなってきたので、二人とも降りてきてくれませんか」
「今行きます。」

らんるは頬をつたう涙を拭きながら、涙声を悟られないように大きな声をだし、玄関へと向かう。
幸人はらんるの手を捕り、外にいる凌駕に聞こえないように囁く。

「お前が好きだ」
「だったらもうこんなことしないで」

らんるは振り返らずに言い、手を振り外し、玄関へ行き、出て行く。

「らんるちゃん、どうしたの?」

涙の跡に気付いた凌駕は尋ねる。

「幸人さんに治療してもらったんだけど痛くてね」

とらんるは取り留めのない嘘をつく。

「だったらいいんだけど」

凌駕は腑に落ちない思いしながららんると店へと向かう。


しばらくして、幸人も店に出てきたが、らんるを自分から見ることがなかった。
らんるも何時ものように用がない限り幸人に話し掛けることがなかった。


二人の仲に何事もなかったように時が過ぎて行く。





これにはまた続きがあります。(←どういうことよ、自分)
読みたい人だけ読んでください。