理由・・・そして


二人は部屋に入り、テーブルに着くとらんるは幸人にお茶を出す。
らんるは自分のお茶を置いて幸人の向かい側に座る。
幸人は一口お茶を飲むとらんるに話を始める。

「夕べは悪かった。ちゃんと理由を言うべきだった」
「どうしてあんなことを・・・・」
「らんる、もしエヴォリアンを倒したらどうするつもりだ?」
「まだ、考えていない。それにそんなにすぐ倒せるかどうかもわからないし・・・」
「俺もまだちゃんとは考えていない。しかし俺もらんるもエヴォリアンを倒した時、
 やりたいことが出てくるんじゃないかと思った」

「・・・・・」
「その時はきっと別れなければならないだろう。その時、らんるはどれほど傷つくかと思った。それで・・・」

幸人はお茶を一口飲む。

「それで?」
「今ならきっと傷つかないだろうと思って夕べお前に別れを告げた」

らんるはその言葉を聞いて両手で湯飲みを包み込んで俯く。

「しかし、さっきおっさんに言われて気がついた。恐れていたのは俺のほうだった。
 お前と別れることがどれほど怖がっているかを気づかされた。そしておっさんに今の気持ちを大事にしろといわれた」

幸人はらんるの手をそっと握ると、らんるは俯いていた顔を上げ幸人を見つめる。

「らんる、虫が良すぎるとは思う。でも、今はやっぱりお前の事を離すことができない・・・」
「・・・幸人さん」
「もう傷つくことは恐れない。だから別れるその時まで一緒にいてほしい・・・」

「私も恐れない・・・だからその時まで一緒にいよう・・・」

そして二人はこの事があった半年後、エヴォリアンを倒し別れた。



・・・半年後

俺はらんると別れ函館に戻り、整体士の仕事に戻っていた。

らんるも福岡に戻り、メカの仕事に就いたことを凌駕がわざわざ知らせてきた。

俺は今までと変わったつもりはなかったが、周囲の反応が違った。

俺が以前より『丸くなった』と・・・。彼女のおかげかもしれない。

これでよかったのだと思う。後悔は・・・・している。

今でもはっきりわかる。あいつを愛していると・・・。

でも彼女には夢を叶えてほしいと思っていた。だから、俺は彼女を解放した。

俺はコーヒーを飲みながら、そんなことを思っていた。

時計を見ると、次の患者の予約の時間だ。

俺はいつものように患者の待つ部屋に入る。

「待たせたな」

窓辺に立つ患者が俺の方に振り返る。俺はその顔を見て頭の中が真っ白になった。

「元気だった?幸人さん」

そこには少し髪が伸びたらんるが笑顔で立っていた。

「どうして・・・・」

俺はあまりの出来事に言葉が出ない。

「やっぱりだめ。幸人さんの傍を離れることなんてできない」

らんるは俺に抱きついてきた。俺はらんるを受け止める彼女の身体を言葉の代わりに強く抱きしめる。

「この半年間、幸人さんの事が頭を離れなかった。やっぱり幸人さんのこと好きなんだって・・・だから来ちゃった」
「お前、仕事は・・・」
「やめてきちゃった」
「やめてきたって・・・」
「でも大丈夫。こっちに仕事は見つけてあるから」

らんるは俺の顔を見上げにっこりと笑う。

「これからはずっーと一緒にいるからね」
「ああ、俺も離す気はない」

それから俺たちは一緒に暮らすようになった。




やっと完結しました。結局のところ別れられない二人です(笑)