幸人とらんる
「おい。戻ったら俺の部屋に来い。」

戦闘が終わり変身を解除して凌駕やアスカと喋っていたらんるの横を通り抜ける時、幸人は正面を見たままぶっきらぼうに言う。

「え?なんで?」
「いいから来い、わかったな。」

そのまま幸人は恐竜やへとむかって、歩いて行ってしまった。らんるは

「何であんな奴の部屋になんか行かなくちゃいけないのよ」

と少々むくれ顔。その横で凌駕とアスカは顔を見合わせて、小首を傾げていた。


・・・ピンポン・・・・

「入るわよ」

らんるはそういいながらドアを開ける。頭だけこちらに向け、幸人は

「上着を脱いで、こっちに寝ろ」

ポケットに両手を突っ込んだまま、顎で治療用のベッドを指す。

「なによ、突然。呼び出しといて、上着を脱げなんて・・」
「勘違いするな。いいから早くしろ」
「帰るわ」

踵を返し、部屋を出ようとするらんるの背中に、幸人の苛立った声が飛ぶ。

「ここに寝ろ!」

らんるはその声に驚いたような顔をし、幸人の方へ振り返る。らんるは幸人の真剣な顔を見て、身体を向け、後ろ手にドアを閉める。
そして、靴を脱ぎ、ベッドへ向かいながら、渋々上着を脱ぎ、ベッドに上がりでうつぶせになる。

幸人はなにも喋らず、らんるの身体をマッサージし始めた。

「なにするのよ」

らんるは驚いて、起き上がろうとするが、幸人の両手はそれを制す。

「黙って寝ていろ」
「そんな事される覚えないわ」

尚も起き上がろうとするらんる。そんならんるを制し、幸人はあきれたように言う。

「なぜ黙っている」
「え?」
「この俺が解らないと思っているのか」

「・・・何で解ったのよ?」

「それくらい動きで解る。何時もの動きより鈍かったな、今日は」

「はは、ばれてた?解らないように頑張っていたのに」

「あいつらは騙せても俺は騙されない」

「さすがカリスマ整体師ね」

「普通でも解る。あいつらが馬鹿なだけだ」

「そんな事いっちゃかわいそうだよ、黙っていたの私なんだから」

「ここか」

幸人はらんるの左肩の辺りを触りながら言い、的確に痛いところを押す。らんるはその痛みに顔をゆがませ、痛みに耐える。

「何時からだ?」

「前の戦いの時からずっと」

幸人が手を離すと、らんるに安堵の顔が戻る。らんるは起き上がり、ベッドの上でまるで体育座りのように膝を上げて座る。

「ふう、ちょっと痛かったわ」

「それくらい耐えろ、まあいい、動かしてみろ」

らんるは言われた通り、左肩を回してみる。らんるの表情がぱっと花を開いたように明るくなる。

「わぁ、痛くない」

「当たり前だ、俺を誰だと思っている」

「ははは、そうでした」

らんるはベッドから降りようとする。幸人は気付いたように

「待て」

らんるの右肩を抑え、降りるのを制した。らんるはなぜとめられるか解らず、きょとんとした顔で幸人を見上げる。

らんるを見た幸人は呆れたように顔を横に向ける。

「自分の膝、見てみろ」

らんるはあわてて自分の膝を見る。幸人は救急箱を取る為、その場を離れる。

「あっ、怪我してる。ぜんぜん気付かなかった」

「ほんと鈍感だな」

憎まれ口を利きながら、幸人は救急箱を持ち、らんるの座っているベッドに脇に戻ってくる。

「ついでだ」

幸人は擦り剥いて出来た傷を無言のまま治療し始める。らんるはそんな幸人を見て、小さく笑う。

「ありがとう、幸人さん」

「別に礼を言われる事じゃない。俺の為だ」

「なにそれ?」

「今日みたいな動きをされたら、こちらが危ない」

「ふん!」

らんるはその言葉を聞き、頬を膨らませてそっぽを向く。幸人はそんならんるなどお構いなしに治療を続ける。

「終わったぞ、もういい。今度からちゃんと言え」

  幸人は救急箱を片付け始める。そっぽ向いていたらんるはその言葉に気付き、我に返る。

らんるはベッドから降り、背を向けている幸人に深々とお辞儀をする。

「今日は黙ってくれて有難う」

幸人は右手を上げ、何時もの手で振る。

それを見たらんるは笑顔になり、玄関へと向かう。動き始めたらんるの背中に幸人の声が掛かる。

「まさか金を払わないで行くつもりか」



・・・続く


こんな中途半端で終わってしまって怒っている皆さん。この話にはちゃんと続きがあります。
書いている途中で2つの話が思いついてしまったのです(汗)
どちらがお好みのほうをどうぞ



らんる編

幸人編