一鍬と七海 2 契り


七海は前夜から甘い興奮の為、ほとんど眠ることが出来ずに朝を迎える。
落ち着かない様子で、七海は誰にも行き先を告げず愛しい一鍬が待っている神社へむかった。

一鍬も同様な朝を迎え、やはりこちらも早くから神社へと向かう。
七海が神社に着いた時にはすでに一鍬が着ており、駆け寄り抱きつく。

「逢えなかった時間がどれほど長く感じたか」
「私も」

どちらともなく、口付けをする。一鍬は七海を離し、見詰める。

「結婚してほしい」
「えっ」
「我らは忍。何時死ぬような任務が来るかわからない。だから・・」

七海は突然の申し出に驚いて俯いてしまう。しばらく考えて満面の笑みで答える。

「はい」
「ありがとう、これから神主の無限斎殿にお願いしよう」
「ええ」

神主の下、二人きりの結婚式を挙げる。

七海は行き先を告げなかった為、長い時間家を空けることはできないと後ろ髪を引かれる思い出家に戻ることにした。

一鍬も愛しい人と夫婦になれたことの喜びをかみしめながら家へと向かうため、その場を離れる。



町の大通りでは、鷹介と吼太が一甲に因縁をつけていた。
一甲は自分の事だったら我慢は出来たが弟のことを言われ、怒りは頂点に達そうとしていた。
そこに言われている本人が嬉しさをかみ締めながらやって来る。
それを見つけた鷹介と吼太は

「何浮かれた顔してんだ。女みたいな顔をしやがって」
「うちの七海にちょっかい出すな」

いつもだったら、すぐに血が頭に上る一鍬が反論しない。
一鍬は彼等が七海の大事な仲間だとわかってしまった以上いがみ合いたくない。
その思いが彼をとどませる。そして一鍬は一甲の腕を引き、その場を離れようとする。
しかし鷹介は決して二人には言ってはいけない言葉を言う。

「お前らの親父がそうだから、お前らのそうなんだ」

その言葉に兄弟二人は切れてしまう。
突然、迅雷流の二人が疾風流の二人に殴りかかる。

「親父の侮辱は許さん」

大通りは大騒ぎになる。そこに御前様の従者、シュリが止めにはいる。

「Youたちは何をやっているんだ。町を騒ぎにしたことは御前様に報告させてもらうよ。さあ、家へ戻るんだ」

家に戻った霞兄弟はすぐに御前の呼び出しを受ける。
二人は御前の前に行くと、すでに疾風の二人も来ていた。
四人はお互い目もあわせず御前へ頭を垂れる。

「町で騒ぎを起こしたそうだな。そなた達にはしばらく任務についてもらう。内容はシュリケンジャーから受け取るがよい。下がってよい。」

それぞれ四人は任務の内容を聞かされる。
それは決して簡単な内容ではなく、死をも覚悟しなければならないものだった。
出発は明朝となった。



夜、七海は部屋で泣いていた。
昼間の騒ぎでそれぞれ四人が任務に赴かなければない事を聞いたからだ。
その日の朝に結婚をし、幸せの絶頂から不幸のどん底に叩き落された思いがした。


静かに障子が開く。
その音に気づき七海が振り返るとそこには月明かりを背にした悲しい顔の一鍬が立っていた。
一鍬は部屋に入り、後ろ手で障子を閉める。
そして座っている七海の所へ跪く。泣き顔の顎を持ち、眼を合わせる。

「七海、すまん。騒ぎを起こすつもりはなかったのだが」
「いいえ、ただあなたがいなくなると思うとそれだけで」

七海は一鍬に抱きつく。そんな七海を一鍬は愛しく思い力強く抱きしめる。

「夜が明けたら出発しなければならない、だからそなたを我が新妻として床をともにしたい思い、やってきた」
「やっと心身ともにあなたの妻になれるのですね」

一鍬はそっとろうそくに火を消して、美しい新妻・七海を布団に横たえ、口付けを落とす。

2人は契りを交わす。




第2弾です。有名な秘密の結婚式の場面です。
ここに出てくるシュリは素顔で想像してください。
私的にはお顔は三崎和也で(笑)